ENDO

たそがれの女心のENDOのレビュー・感想・評価

たそがれの女心(1953年製作の映画)
4.0
軽率なダリューは夫であるボワイエから贈られたさして興味もない耳飾りを質に入れ朧げな記憶の中に葬り去るが裏で買い戻され夫の愛人の手に渡りルーレットの賭け金としてコンスタンティノープルでまた質流れとなり愛するデ・シーカの手によって再び彼女の手の中に。呪いのマクガフィンである耳飾りが悲劇を呼ぶ。2人が恋に落ち回転するうちに日付が変わり閉店間際ダンスホール専属のハープ伴奏者が帰宅時に掛ける布で暗転する。時を忘れて。冒頭からカメラは人間の迂闊な動きすらも見放さずに追いかけ続け反復も厭わない。旅中何度も読まれることもなく破り捨てられ車窓の隙間から散り散りになる書き損じの手紙はやがて雪へと変わるだろう。その積雪は恋の嵩でもある。決闘のカタルシスなどなく必然的に死を招くボワイエの放つ1発だけの銃声が彼女の命の灯火を掻き消すのみ!格調高い…!
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