TaiRa

たそがれの女心のTaiRaのレビュー・感想・評価

たそがれの女心(1953年製作の映画)
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やっぱオフュルスの流麗としか言えない撮影好っきゃわ。特にダンスシーン。

結婚の記念に旦那から貰った耳飾りを売っ払っちゃう貴婦人。この貴婦人、ダニエル・ダリューがやってるけど、とにかくあんま先の事とか考えないで嘘とかついちゃう。オペラ観てる最中に「耳飾りなくしちゃった」と適当な嘘つくから旦那が方々探し回る。このシークエンスの移動に次ぐ移動、扉のしつこい開閉ギャグが楽しい。耳飾りの行方に関しては早い段階で旦那に嘘がバレ、でもその事自体を旦那が隠したりして愛人に贈っちゃったり、国境も越えたり何だかんだあってヴィットリオ・デ・シーカ演じる男爵の手に渡る。男爵がパリで貴婦人に一目惚れしてから先はメロドラマがグングン進む。奇跡的な再会が何度も重なったり、耳飾りが一周回って貴婦人に戻ったりご都合主義がバンバン重なって面白い。二人が社交ダンスで踊り続ける場面最高。クルクル回る二人、至る所に置かれた美術品や絵画の合間を縫って、カメラも移動しながら撮り続ける。最高のダンスパーティー監督。旦那に関係バレてから、男爵と旦那が二人っきりで話す時、画面が傾いてて不穏。2回くらいやってる。貴婦人が男爵へ書いた恋文を破いて列車の窓から捨てると、風に乗った紙くずがいつの間にか降りしきる雪にまざって行くの感動的。耳飾りが人を介して旅する間に意味が書き換わっていくのも面白い。ラストの決闘もドライでカッコいい。あの省略の仕方。離れた場所で彼の死を理解する。重ねて来た卒倒の回収も悲しくてキレイ。
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