最近、当たり前のことしか起きない映画を少しは楽しめるようになってきた。
ダルデンヌ兄弟作品は初鑑賞で、序盤のDQNカップルの吐きそうになるようなイチャつきを見て「えーこれパルムドール?」とちょっと思ったが、最高賞に輝いた由縁は「当たり前のことしか起きない」からなのか。
最初から一貫してブリュノの言動は短絡的だが(いい役者が素晴らしい演出のもと、クソみたいなDQNを演じる稀有な例)、最初に言ったように当たり前のことしか起きないからちゃんと罰は受けるし、ソニアに愛想も尽かされるし、裏ブローカーにボコられもする。
最後に少しだけ希望を持たせこそすれど、徹底して当たり前の結果だけを映画的な演出フィルターをほぼ掛けずに描ききっていた。
まさしく、感動ポルノの対局だ。
これがダルデンヌ兄弟か。多分「ロゼッタ」先に観とくべきだった。