WBC日本代表優勝の余韻が冷めやらぬ中、いよいよ今年も本格的な野球シーズンの到来。今回の侍ジャパンの活躍でNPBやMLBに興味を持った人も増えたのではないだろうか。
野球にさほど興味のない方でも、ルー・ゲーリックの名前はご存じだろう。1903年に生まれた彼は、のちにゲーリック病と呼ばれる筋萎縮性側索硬化症を患い37歳の若さでこの世を去った。
打点王5回、本塁打王3回、首位打者1回。終身打率.341、本塁打494本、最高殊勲選手選出2回というメジャー屈指の大打者だが、その打撃成績以上に有名なのが、人気チームであるニューヨーク・ヤンキースで2130試合連続出場という大記録を打ち立てたことだ。
アイアン・ホースと讃えられ、〝ヤンキースの誇り〟と呼ばれたこの不世出の野球選手の劇的な生涯を描いたスポーツ伝記ドラマ。監督は「チップス先生さようなら」のサム・ウッド。映画が公開されたのは1942年。彼の死の翌年のことだった。
ほとんどの人は、この映画を有名な野球選手の古い伝記映画として観るだろう。だが想像してみてほしい。あなたの憧れのスーパースターが突然亡くなったとしたら。あなたはその翌年に作られた彼(彼女)の伝記映画をどんな気持ちで観るのだろう。
ゲーリックを演じたのは「真昼の決闘」のゲイリー・クーパー。2人は顔が似ていたと言われている。同時代の盟友ベーブ・ルースがいたずら好きで陽気な性格だったのに対して、ゲーリックはシャイで実直だが、不思議な色気がある男だった。そんな彼をクーパーが見事に演じている。
引退試合でのあの有名なスピーチは、何度見ても涙があふれる。作品内にはベーブ・ルースをはじめとしたヤンキースの名選手の姿を見ることもできる。野球好き、ベースボールの歴史に興味のある方は、是非ともご覧いただきたい。