ぺろ

十兵衛暗殺剣のぺろのレビュー・感想・評価

十兵衛暗殺剣(1964年製作の映画)
3.9
ラピュタ阿佐ヶ谷にて。うまく時間が取れず、全然行けなかった柳生武芸帳特集。どうにか最後の柳生暗殺剣のみ這っていったけど、これめちゃくちゃ面白かった。厳密にはシリーズ外の作品になるようだけど、武芸帳シリーズ(これ以外未見)も回を追うごとに集団抗争時代劇へと接近していくようで、最終作のこれはまさにそれど真ん中のハードコア時代劇だった。

豊臣の碌を食んだせいで、滋賀の山奥に追いやられ傍流と化していた大友先生率いる新陰流の一派が、正統の座を狙い新陰流道場に殴り込み!琵琶湖の竹生島で海賊ならぬ湖賊を従える大友先生と十兵衛一行とが血みどろの戦いを繰り広げる。大友先生が強い、怖い、手段は選ばない、と3拍子揃った悪役。オオアリクイの威嚇みたいな構えなのに、そこから小太刀でぶっすぶっす刺してくる。目をつぶされて地面にはいつくばって嗚咽を漏らす相手に「刀を取れ」と圧迫。マジでこわい。対する十兵衛は強いのだが真剣を扱ったことさえない門弟たちも頼りなく、押されっぱなし。一騎打ちで刀を折られて恐怖の声を漏らす十兵衛先生…

筋はトンチキでも描写は徹底した陰惨なリアリズムに貫かれているし、夜の湖面の暗闇の怖さ、湿地での殺陣の過酷さもハードで良いね。ここまでの武芸帳も見ないとな。
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