johnnydaniel

キリング・フィールドのjohnnydanielのネタバレレビュー・内容・結末

キリング・フィールド(1984年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

画面に映る映像は どれも細部までこだわり、リアリティを追求していて、戦場でのシーンなどは まるでドキュメンタリー番組を見ているような気分になった。また、この作品は 子どもの使い方が秀逸で、例えば、激化した戦場で 逃げ惑う人々の中を 泣き叫びながら親を探している迷子、怪我人が多く運び込まれる病院で 血が散布している床で遊んでいる裸の男の子など、この他にも数回に渡って子どもが登場するのだ。これらがあることで よりこの戦争の悲惨さが際立つと共に、「実話を元にした作品」という肩書きが生き、実際にも このように悲惨な状態だったのか。いや、これでも まだまだ甘いくらい現実は 悲惨だったのか、と 考えさせてくれる。制作陣の 熱意と執念が感じられる。

私がこの映画で心に残っている場面は、ベトナム兵とシドニーたちが車で移動している時の会話の場面だ。まだ 大人とは程遠い 中学生程の年齢の少年が 当たり前のように銃を持ち人を殺めている恐ろしい社会だが、そんな 少年がアメリカで流行っている車についてシドニーに問いかける。少年曰く ベンツは 最高だと言い 英語で「ベンツ No.1」と嬉嬉として話している。そんな彼に ベンツのマークのアイテムをプレゼントするのだが、それを受け取った少年には、今までの 想像しがたい残虐な面影は どこにもなく、そこらにいる中学生と同じような純粋なキラキラした目で そのロゴを見つめ 大事そうにポケットにしまうのだ。このシーンがある事で、彼らに罪はなく、罪深きは 人を平気で殺められるよう 国のために尽くせる人材に教育し、洗脳した国なのだと分かる。こんな可愛らしい少年たちが 戦争の前線に駆り出され、命を奪い 奪われのやり取りを平気でしていたと考えるととても胸が痛い。
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