mh

あなたになら言える秘密のことのmhのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

癒やしのハートフルドラマかと思って手を伸ばした連中を容赦なく打ちのめすシリアスドラマ。
主人公の打ち明け話がキモなんだけど、それを引き立たせるために付け加えられた序盤中盤がうまい。
・海上プラントの日常生活。
・腕がいいのか、悪いのかわからないコック。
・ゲイのカップル。
・コミュ障の海洋調査学者。
このあたりの細部が絶妙。
・真面目に働いて同僚から疎まれるというわかるようでわからん状況。
・ただのライン工がなぜ看護師の資格を持ってるのか。
・一時的に目が見えないとは?
というような牽強付会がそんな気にならない。
ただ、カミングアウトがかなり唐突であることは否めない。ためてためてという印象はなく、わりとすぐに吐露してくれる。
結局のところ、お互いに引かれ合ったということなんだろうね。
ユーゴスラビア戦争については、「最愛の大地」とか「サラエボの花」とか、こちらの心臓を握りつぶす名作が揃ってるので、なにもそんないきなりぶつけてこなくてもという気がしないでもない。
実際、スペイン・アイルランド映画で、まさかユーゴスラビア戦争ネタとはまず思わん。
作中、「ユーゴスラビア戦争」というワードが出てこず、それらは時代や「クロアチア」などの単語から自力で導き出さないとならない。
いっぽうで、「ヒトラー」とかオスマン帝国およびWW1トルコで行われた「アルメニア人大虐殺」の話題は登場する。だけど主に扱っているのは虐殺は虐殺でもジェノサイドレイプという見る側の教養を試すいじわるシナリオになってるため、間違って解釈してるひともけっこういそう。
ラストは抱擁じゃなくて激し目のキスにしてあるのも日本人からしたら不思議なバランス。
ハッピーエンドではあるんだけど、なんかちょっと釈然としないものも残る。ということはやっぱり逆説的にいい映画なんだろうな。
「ウソをつきはじめたね、ぼくを好きになった証拠だ」というセリフがキモ良かった。
面白かった!
mh

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