三樹夫

恐怖の報酬の三樹夫のレビュー・感想・評価

恐怖の報酬(1953年製作の映画)
3.8
ベネズエラの油田で大火事が発生。火事を消すにはニトログリセリンを爆発させて消すしかない。食い詰めた男4人が500キロの道のりをトラックでニトログリセリンを運ぶというロードサスペンスブロマンス映画。1977年にはフリードキンがリメイクしている。

フリードキン版の方は何かが異常に突出したはっきり言って変な映画であるのに対し、こちらは名匠の技といった感じになっている。フリードキン版はニトログリセリンを積んでなくてもこんなもん危険だわという変に過剰だったが、この映画はニトログリセリンを積んでいるが故に普段は何ともない道を走るのにもサスペンスが生じるという、ニトログリセリン積んでトラックで走るプロットなら当然そういった演出を取るよねと、巨匠のしっかりした演出に支えられた映画となっている。ニトログリセリンを積んでいることにより生じるサスペンス、ニトログリセリンが爆発するかもというサスペンスにしっかり注力している。
この映画はベネズエラが舞台で、とんでもねぇ国描写があるっちゃあるのだがそこら辺はあっさりしており、最終的に女の元へ帰るみたいな話だからなのか、なんとしても女の元へ帰る理由付けというか、リンダの胸元やクモ殺す時の水浴びする裸の女性など、前半は性的なイメージが散りばめられている。フリードキンは前半のとんでもねぇ国描写に異常に力を入れていたが、やっぱりフリードキンはおかしい。

ジョーという完全に耄碌してほぼ何の役にも立たないおっさん。ただしそんなジョーでもマリオは兄貴と呼ぶというブロマンスがある。
調子こきだして嫌な予感がどんどん高まっていき、一気にフラグを回収してすごい勢いで終わるという、観る者を唖然とさせる力技の終わり方。異論は受け付けんというかのようなFinで、この世の無常を叩きつけてくるのであった。
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