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時代屋の女房のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

時代屋の女房(1983年製作の映画)
3.8
骨董屋を経営する独身男と、その店にふらりとやってきた根なし草のような娘との恋物語を、近所に住む人々の生活を織り混ぜて描いた人情劇。
直木賞を受賞した村松友視の同名小説の映画化で、監督は森崎東。
主題歌「Again」を歌うのは、ちあきなおみ。(1983)

35才で独り者の安さん(渡瀬恒彦)は、東京の大井で「時代屋」という骨董屋を営んでいる。
夏のある日、日傘をさしてのら猫を抱えた真弓(夏目雅子)という女がふらりとやって来て、そのまま店に居ついてしまう。
真弓はのら猫のようにひょいと家を出ていくと、数日後またひょっこり戻ってくる。
それが何度か続き、今度は戻らないと感じた安さんは、真弓に似ていて1週間後に岩手で結婚するという美郷(夏目雅子)と出会い、一夜を過ごして、翌日見送る。
やがて、安さんは「覗きカラクリを売ってください」という真弓からの電話をヒントに、マスターと共に岩手に向かう…。

~安さんを取り巻く人物~
・店の女に次々に手を付ける、喫茶店サンライズの独りもんのマスター(津川雅彦)
・マスターと出来ている店員(中山貴美子)と、店のバーテンで彼女の恋人(趙方豪)
・駆け落ちした(未遂に終わる)女が忘れられないクリニーング屋の亭主(大坂志郎)と妻(初井言榮)
・元プロレスラーの女房(藤田弓子)に技をかけられながらも楽しそうな飲み屋の主人(藤木悠)

夏目雅子がかげろうのような儚くも美しい存在感で、魅力を発揮。
彼女の魅力が生かされている点で「魚影の群れ」と並ぶ彼女の代表作といってよい。
稀有な存在感のある女優で、若くして亡くなられてしまったのがとても残念。
もし今の時代に彼女が存在したとして、彼女の魅力を生かした映画を作れるか?これについては別の問題がある。
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