【第14回ヨーロッパ映画賞 ドキュメンタリー映画賞受賞】
ニコラ・フィリベール作品で、フランス国内でドキュメンタリーとしては異例のヒットとなった。セザール賞では作品賞や監督賞にもノミネート、英国アカデミー賞では非英語映画賞にノミネートされた。
まあフィリベールの代表作と言っていいだろう。とにかく観察するだけの観察映画。
地方都市の子どもたちを教える定年間近の教師と生徒たちに密着する。
ワン・ビンの徹底した凄みのある作品、原一男の社会問題を提起する作品、ロージの自然のダイナミズムを映した作品、どれでもない。強いて言えば同じフランスのヴァルダなのだろうが、ヴァルダほどの皮肉や切れ味はない。
だからといって劣っているわけではない。フィリベールは人にとことん興味があるんだろう。ありのままを映しているだけではあるが、教師や生徒のふとした本音を暖かく捉える。暖かな作家性の持ち主だ。
ケンカした子が泣く小さい子に寄り添っていたり、喋ることが苦手な子には先生が個別に話に乗ってあげる。
生徒それぞれに寄り添い、時には厳しく指導をする先生が素晴らしい。
泣いて笑って、感情豊かな登場人物たちが魅力的。暖かな演出をするフィリベールならではのドキュメンタリー作品。