南宮龍八

ビューティフル サンデーの南宮龍八のレビュー・感想・評価

ビューティフル サンデー(2007年製作の映画)
3.0
DVDの予告編だけ観るとまるでナムグン・ミンとミン・ジヘの救いようのない悲恋物語かと思ってしまうが、これがまったく想像と違う展開で非常に驚いた。この映画の本当の主役はナムグン・ミンではなく予告編で1カットだけ映るパク・ヨンウだったのである。レイプ事件の話が出てきたので、てっきりミヌ(ナムグン・ミン)がカン刑事(パク・ヨンウ)の奥さんをレイプしたのかと思っていたが予想が大きく外れてしまった。いつまで経っても話が繋がらないので「ロマンチック・アイランド」(2008)のように関係のない話を同時オムニバス形式で見せていくだけの作品なのかと思ったらそれも違っていたのである。で、この映画を観終わった時にふと思い出したのが「箪笥」(2003)である。主人公が精神を病んでいて観客はずっと彼女の幻覚を見せられていたというあの感覚を思い出したのだが、本作ではある事実を驚きの映像で見せているのである。麻薬を横流しして警察とヤクザの板ばさみにあうカン刑事とスヨン(ミン・ジヘ)をレイプしたことを深く後悔しているミヌ。このまったく関連性のない2人の話がどのように結びついていくのか・・・なるほど、こういう見せ方もあるんだなと心底感心した。それにしてもナムグン・ミンはストーカー姿が良く似合う。いや、役が似合うと言うよりもナムグン・ミン自身の華のないキャラクターが功を奏した感じと言える。特別印象に残る演技をしている訳ではないのだが、あの物陰からじっと見つめる目つきはなんとも言えずゾッとするのだ。

10/01/13
南宮龍八

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