進藤先生

バンテージ・ポイントの進藤先生のネタバレレビュー・内容・結末

バンテージ・ポイント(2008年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【 公開時レビュー 】

上映時間は90分と比較的短いのですが観ているともっと短く感じました。
アメリカ大統領暗殺の瞬間を何度も巻き戻して8つの視点から見せていく手法で必ず「さあ、どうなる」とクライマックスの瞬間に次のSTORYに移ってしまうのでどんどん引き込まれてしまいました。
他のレビューなどを見ると「くどい」とか「飽きる」との感想がちらほらありますが、私はなかなか面白い作り方に感じました。そして最終的にその8つの視点(人物)がひとつに重なり合い本当のクライマックスが訪れます。
いい映画の条件に人物描写がありますがこの映画はわざとだと思いますが各人物を深く見せていません。ですが少しずつヒントらしき出来事などがありますので「この人物の背景はお前らで考えろ」と投げかけているのだと思われます。
結局犯人達の黒幕も大統領を誘拐して何を要求するのかもわかりませんでした。アメリカ大統領の誘拐(暗殺)を企てるにしては大きな組織(黒幕)がいるにしても実行犯が少なすぎる気がしますし、大統領拉致までは良く出来たシナリオで関心するのですが本当にこんなに簡単に大統領に行きつけてしまうのであれば不安になります。

そして考えさせられるのがこのテロに加担した人たちの理由ですが①信仰・思考②信仰・思考によるマインドコントロール③女がらみ④家族のためと想像できました。

①世界中のテロの本質だと思いますが、これは映画の中でも大統領が仕返しを助言する部下に対して言ってましたが「やられたらやり返すでは問題はずっと解決しない」と。
②これは大統領が泊まっているホテルのロビーでホテルのボーイに扮した若者が自爆テロをするのですが、マインドコントロールされているんです。オウムの事件もそうですがマインドコントロールは自分も何か心の隙に付け込まれたらされかねないという恐怖があります。
③これもまた怖い。普通の人が異性に溺れて事件を起こすことがちょくちょくありますが、心底好きになってしまうと何でも出来るが、違う方向に向かうと善悪の区別ができなくなってしまう。
④弟を人質にされ無理やり加担されてしまうというこれも怖い話です。もし自分の子供を誘拐され、ある人物を殺してこなかったら子供を殺すと言われたらどうするでしょう...考えるだけでも怖い。

総括としまして最後は女の子が助かった瞬間少し感動して涙がきらりでしたし、テンポも良く面白かったです

2008/3/22 TOHOシネマズ名古屋ベイシティ
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