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ファミリー・ツリーのharu3uのレビュー・感想・評価

ファミリー・ツリー(2011年製作の映画)
4.0
祖先の土地を受け継ぎハワイで妻と2人の娘と暮らすマットだが、ある日、妻が事故で昏睡状態に陥ってしまう。追い討ちをかけるように余命幾ばくもない妻の不貞を知らされた男は、自らの人生を見つめ直すことに。

状況だけを見ればかなり深刻ですが、“楽園”と形容されるハワイの大らかな土地柄をフィルターにかけ、シリアスとユーモアの絶妙なバランスで人生の喜怒哀楽が描かれます。チャップリンの名言「人生は寄りで見ると悲劇だけど引きで見ると喜劇」を思い出したり。
よくある家庭崩壊(という程壊れてもいないけれど)と再生の物語かと思ったけれど、家族だからといって全てが判り合えるはずもなく。諦めを含んだ突き放すかのような視線がリアルでした。 

マットは決して良い夫ではありませんでしたが、非難される程でもない印象。彼が妻に贈る最期の台詞は涙を誘うけれど、彼女が弁明できたとしたら夫になんて言ったでしょうね。死人に口なしとも言うし、マットにも許す以外の選択肢は無かった。
事故に遭う前の幸せそうな笑顔が最後まで引っかかって、彼女の気持ちを知りたかったな。
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