河

メーヌ・オセアンの河のレビュー・感想・評価

メーヌ・オセアン(1985年製作の映画)
5.0
相変わらず労働者としての日常からヴァカンスに行って帰ってくる話だけど、中心になる集団がいなくて全員に均等に機会が与えられているのが新しいところな気がした

守るべきルールや社会的な役割、家族とかの関係性があって、その中にさらに船乗りは男らしく乱暴じゃないといけないとか職業イメージからくる役割もあってっていう環境として日常生活があって、それとは切り離された空間世界として休暇、ヴァカンスでの生活があって、そこでは役割とかルールが剥ぎ取られるっていう舞台設定がある そこに共通の目的与えれば共謀するっていうあのセッションシーンの開放感と多幸感が最高 エージェントとダンサーはヴァカンス中も役割から特に開放されていなくて、他の全員がそれに合わせる形になっている

最後はオルエットの方へにも出てた役者の、逆にヴァカンス先から仕事に戻れないって話だけど、絶望的な独走の絵面にあのセッションの音が再度流れてきて、泥酔してキングオブサンバって歌ってたのが入ってきた時が本当に最高だった 結局この瞬間のためにこの映画あったんじゃないかと思うレベルの最高さ

ロメールの映画はヴァカンス空間から出ないけど、ロジェの映画はその二つを行き来する話なんだなと あとロメールは人物の奥にある無意識的な何かを掴もうとしてる感じがあるけど、この人はそういうところがなくてカラっとしてる
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