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メーヌ・オセアンのmat9215のレビュー・感想・評価

メーヌ・オセアン(1985年製作の映画)
4.5
2023−08−05 再見
場当たり的な展開に対して、描写はとてもシュア。多人数の場面の長回しなんて神業的だ。長回という手法に固執するのでもなく、無造作に顔のクロースアップのインサートカットが入ったりする。前半で喋りまくった弁護士リディア・フェルドが、後半はもっぱら観察者として台詞のないインサートショットで登場するのが可笑しい。ニューヨークの興行主ペドロ・アルメンダリス・Jrの押しの強さも格別の味わい。
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すごいなあ。予測不能、というより場当たり的な展開が心底スリリング。最初の列車内場面で感じの悪いカタブツ車掌が最後にサンパセティークな人物になるなんて、まったく読めなかった。場当たり的な展開なのに、集団場面の人々の演技アンサンブルはばっちり決まっている。クライマックスの歌舞音曲場面など、その場に参加しているような高揚感がある。そして、登場人物たちへの視線が一貫して暖かい。ロジェの『アデュー・フィリピーヌ』と『オルエットの方へ』は海岸が舞台になっていて、本作でもユー島や港湾都市ナントで物語が展開する。このナントという都市には5泊したことがあって、ここが出てくるだけで嬉しくなる。ジャック・ドゥミは、ナントを舞台にすることが多い。都市名がタイトルになっている『シェルブールの雨傘』でも、回想場面でナントのショッピングアーケードが出てくる。
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