ずっと観る機会が合わなかった作品をこの度鑑賞。
幸せな少年期を50年代で過ごした田舎町の
ごく普通の健康な青年がベトナム戦争に出征して
人生が変わってしまう物語。
舞台は70年代ベトナム戦争なのだけれど
その後の湾岸戦争から進行形のウクライナ侵攻まで
あらゆる世界の戦場とその兵士たちに共通する
話なのではないかと思います。
もっと拡大解釈すれば、戦争に行くわけでもなく
国の政策や、経済状況、宗教的な支配などにより
人生が変わっていく一市民の話なのかも知れない。
無垢な若者の純粋な思いと戦場の現実の差が激しくて
ベトナムでの凄惨な光景は目を背けたくなるものです。
戦場で命をかけて戦ったのに負傷して帰国すれば
正反対の主張が世間を支配しているのは
実際に戦場に行き、帰還した兵士たちからすれば
やりきれないでしょう。
思わずアフガニスタンから撤退した米兵のことを思いました。
帰還兵の帰国後の苦しみはさまざまな映画やニュースでも
報じられている。ランボーもそうだし、フォレストガンプの
ダン中尉はまさにこの主人公とそっくりです。
戦争は終結宣言がされますが、関わった兵士やその家族の
戦争が終わることなどないのだと感じます。
映画の最後、主人公は光の中へと進みますが、
見ていて僕はとてもドキドキしました。
カメラのフラッシュで彼はまた傷ついているように見えたし、
あの群衆の中、彼は殺されるのではないか、
あの光は栄光の光ではないのでないかと。
プラトーンやトップガンを観客が見ていることを
利用して皮肉っぽく描いているところがさすがだと思いました。
戦争に英雄はいない、いるとすればそれは作り出されるものだと。