ふふみ

悪い男のふふみのレビュー・感想・評価

悪い男(2001年製作の映画)
4.1
90年代の北野映画っぽくて好き。
ぽいっていうより、ストーリーや演出からキャラクターや台詞の少なさまで昔の北野映画そっくり。
キム・ギドクもフランス映画ファンだから感覚が近いのかな。

ものすごく理不尽な話なんだけど、何故だか憎めない。
結局はヒロインである女子大生よりも主人公のチンピラの方が純粋だと感じさせられるからだと思う。
やり方はめちゃくちゃで馬鹿げてるけど、全く違う世界に住んでいたヒロインを、結局は自分と同じ世界に住まわせることに成功しているし、最終的には心を手に入れている。
ヒロインはいつのまにか自分を理解するのはその男だけだと思っているし、その男を理解してあげられるのも自分だけだと思っている。
そういう、理屈が通用しない不条理な情というのは、彼女が元々住んでいたキレイな世界では生まれにくい。
そのやるせなさと切なさが伝わってきて最後は泣けてくる。
そんな、知らなければ必要なかった情、知ってしまうと逃れられない情を充分すぎるほど表現できている。
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