B姐さん

巌窟の野獣のB姐さんのレビュー・感想・評価

巌窟の野獣(1939年製作の映画)
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(今年亡くなった)モーリン・オハラ主演の女性心理サスペンス映画を想像してた。しかし本作は、ほとんどチャールズ・ロートンのオン・ステージみたいになっていて、あんまり面白くない。ロートンのキャラクター自体は「まったく反省のしない悪党」で面白いのだが。邪推だが、ロートンが製作者であることも一因かもしれない。とにかく、いろんな出来事が緊張感のあるサスペンスとしてつながっていないのが惜しい。冒険映画の部類なのはわかるが。ただ沿岸での嵐のシーンなんか当時はどうやって撮ったんだ?と思う程特殊効果が物凄い。

この後ヒッチコックはアメリカに渡り、同じ原作者(ダフネ・デュ・モーリア)の『レベッカ』を撮り、アカデミー作品賞をもらうことになる(ちなみに『鳥』も同じ原作者)。だからイギリス時代の最後の作品としてみれば物足りないが、アメリカに行く「肩ならし」、いや「橋渡し」的な作品と見ればなぜか腑に落ちる。

@シネマヴェーラ渋谷(12/25/2015)
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