巌窟の野獣の作品情報・感想・評価

「巌窟の野獣」に投稿された感想・評価

いくら

いくらの感想・評価

2.5
好き勝手なチャールズロートン。警官役の俳優がイマイチでどうもバランスが。ジャマイカ亭の造形や、提灯等の撮影はいい。しかしここでも悪役は落ちて死ぬ。
原題はジャマイカ・イン。風変わりな名前の宿屋にモーリン・オハラが舞い込む。悪の親玉にチャールズ・ロートンである。ヒッチコック英国時代最後の力作であった。ラストの船上シーンはなぜか忘れられない。
ヒッチコックには珍しいパイレーツもの。といっても陸地にいる海賊(?)だが。
その海賊を陰で操る黒幕がいるが、観客には早々に明かして、
主人公だけが気付かず、という刑事コロンボ的な手法だが、
古い映画に有りがちな、とっとと逃げろよ(笑)的なツッコミ処アリ。
ヒッチ先生にしては物足りない出来。

それにしても、1930年代の映画とは思えない程の綺麗な画質に驚かされた。
デジタル恐るべし。
RyoS

RyoSの感想・評価

3.5
いやめっちゃ面白いじゃん!観客は知ってて登場人物は知らないというサスペンスの基本のシチュエーション。ヒロインはモーリン・オハラで申し分なく、相手役は物足りなさを登場回数が少ない事で影を薄くしてて、イギリス時代有終の美を飾るには十分では。

意思の強い女性はやっぱり美しいですね。
2回目の鑑賞

母が亡くなったメアリは、唯一の親族であるおばを頼るが、叔母の配偶者が経営している宿は、実は略奪・盗賊の一団の隠れ宿だった!

…から始まるオープニング。
一癖ありそうな領事が、納得の黒幕。
仲間のリンチにあって、殺されそうになった盗賊の新入りが、「えっ?」な軍の偉い人。

観てるこちらは、誰が誰か分かってるから、むしろメアリは無事に逃げられるのか?そして、黒幕は捕まるのか?とハラハラしながら鑑賞する事になる。

突っ込みどころ満載なゆるーい設定ながら、意外と面白い。
shibamike

shibamikeの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

大勢の善良な船乗りが悪党達にむざむざ殺される。悪党達に天罰を!しかし、悪事を働く悪党にも生きていて欲しいと願う人がいる。感情とはまったく複雑である。

19世紀のコーンウェル岬。沿岸警備など存在しなかった頃、船が座礁するよう仕組む盗賊一味が殺人、強奪を繰り返していた。こういう蛮行を防ぐため、現在では沿岸警備なんかが実施されるようになったと思うと、現在の安全・安心は過去の犠牲の上に成り立っており、悪党達に対する憎しみを覚える。しかし、悪党達もやむにやまれず悪事を働いているかも知れず、そうなってくると、誰が悪いのか?全員悪いのか?え、自分も?と精神が錯乱状態に陥る傾向にあるので、深入りしないが吉だ。

盗賊達のアジト名は「JAMAICA INN」。何てイカす名前だ!

この映画のキーマンである黒幕のペンガラン。こいつがとにかく極悪非道なのである。自分の手は汚さず、美味しい所取りの鬼畜。祖父からの遺伝である狂疾が発症しつつある、という設定で最後は完璧に狂ってしまう。権力者で極悪人で発狂という、人格の幕の内弁当。

そんな横暴で純メタボリックな紳士ペンガランであるが、本作の一番印象的な部分はというと、彼が執事のチャドウィックを呼ぶ際の呼び方である。これがすっ頓狂で笑わずにいられない。「チャー!↑ドウィー!↑ック!」と実に耳に残る発声なんである。家に1人でいるとき、練習したい。製作陣側でも楽しんでいたらしく、この発声はラストシーンにも使われる。あんな発声が一生耳に残る執事チャドウィック、心底同情する。

盗賊のリーダーであるジョスとその妻であるペイシャンスは元々は慎ましく暮らす善良な夫婦だったのであろう。それが、百貫デブのペンガランに何かつけこまれてしまって悪事に手を染めてしまったのであろう。にしてもペンガランに全面的に従うジョスにはちょっとガッカリ。

ヒロインのメアリーだが、何か生意気に見えてしまい、自分はあまり好きになれなかった。「今年の新入生、生意気よ。」と影で悪口を言いたくなる感じだ。メアリーのロマンス相手はトレハーンという正義漢。しかし、このトレハーンあまりグッドルッキンに見えず、トキメキ度数低めであった。知らなかったとは言え、ペンガランに長いこと手玉に取られているマヌケっぷりも影響。

全体的にサスペンス度数もそこそこあり、案外楽しめた。

チャー!↑ドウィー!↑ック!
裏社会と繋がる黒幕としての権力者を描いた風刺的な作品。叔母夫婦の愛の背景などもう少し語っても良いのでは?、とも思うけど、全体としては面白かった。
「チャードウィーック」という音が最後まで印象に残った。
cinefils

cinefilsの感想・評価

3.6
船の難破シーンはかなりの迫力。が何よりもモーリン・オハラの美しさ!

次作の「レベッカ」もあわせて考えるに、ヒッチコックにストレートな怪奇映画を撮ってほしかった。
Zu

Zuの感想・評価

3.1
近くを通る船を略奪し皆殺しにしてしまう悪党達の住みかのジャマイカ宿にモーリンオハラが訪ねる。
モーリンオハラは18か19才、とっても綺麗。
(今年亡くなった)モーリン・オハラ主演の女性心理サスペンス映画を想像してた。
しかし本作は、ほとんどチャールズ・ロートンのオン・ステージみたいになっていて、あんまり面白くない。チャールズ・ロートンのキャラクター自体は「まったく反省のしない悪党」で面白いのだが。邪推だが、ロートンが製作者であることも一因かもしれない。とにかく、いろんな出来事が緊張感のあるサスペンスとしてつながっていないのが惜しい。冒険映画の部類なのはわかるが。
ただ沿岸での嵐のシーンなんか当時はどうやって撮ったんだ?と思う程特殊効果が物凄い。

この後ヒッチコックはアメリカに渡り、同じ原作者(ダフネ・デュ・モーリア)の『レベッカ』を撮り、アカデミー作品賞をもらことになる(ちなみに『鳥』も同じ原作者)。
だからイギリス時代の最後の作品としてみれば物足りないが、アメリカに行く「肩ならし」、いや「橋渡し」的な作品と見ればなぜか腑に落ちる。

@シネマヴェーラ渋谷(12/25/2015)
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