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トイレットのsk1982のレビュー・感想・評価

トイレット(2010年製作の映画)
4.0
最新作の公開に合わせて、自宅で一人荻上直子監督上映会。公開当時はたしかシネスイッチ銀座で鑑賞した記憶。

レイ、リサ、モーリーは、カナダ・トロントに住まう三兄妹。突然の母の死を境に、母が残したけっして大きくはない家の中、同じく母が残した猫『センセー』と、母の母、日本人の『ばーちゃん』との、共同生活が始まるのだが…

公開当時、予告か何かで語られた家族の成長物語、という言葉に縛られて、結果的に一番印象が薄かった作品だったけれど、見直してみて、いやはや、やはり一貫して変化と受容の物語であり、ああ、この監督はこんなに前からモノコトの多様性について語りかけて来ていたんだな…と、発見があった。(昨今のSDGSは、特定民族や国の思惑が透けて見えて胡散臭いことこの上ないが。。)

次回作にあたる『彼らが本気で編むときは』では全面に押し出してモノコトの多様なあり方について問いかけているけれど、それとは違う形で、自己にとっての異物でしかない他者を、知ろうとしてみる姿勢の大切さをじんわりと伝えてくれる。

完全な憶測だけれど、スカート、エアギター、ギョウザ、ミシンなど、恐らく多数あったであろう題名が最終的に『トイレット』になったのなら…センス、スゲエ、と思うのであった。
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