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トイレットのtontonのレビュー・感想・評価

トイレット(2010年製作の映画)
3.8
もたいまさこはジャッキーチェンだ。

そんな事を考えたのは萩上直子監督新作「トイレット」をみたから。

ストーリーは
母を無くしたあるカナダ人の男には引きこもりの兄と、人を否定する事しかしない妹、「センセー」という名の猫、それに英語を喋れない母の実母である日本人の「バーチャン」と暮らしていた。
トイレから出るたび溜息をもらすバーチャンを不思議がっていたが、母を亡くした事でバランスを崩した兄弟たちに追われそれ所じゃなかった。
だが、そんな兄弟たちを救ったのは言葉の通じないバーチャンだった。

といった感じで、それを萩上監督らしい、淡々とした手法で展開していくんだけど、萩上作品で一番好きかな。
テーマは「めがね」「かもめ食堂」と一緒で人間同士の穏やかなコミュニケーションの素晴らしさなんだけど、「めがね」みたいに押し付けがましく無いし、一人っ子なんで兄弟物に並々ならぬ羨ましさを感じてしまう分「かもめ食堂」より好みで。
それに役のキャラクターがしっかりしているので、淡々としながらも分かりやすく仕上がってる気がする。

んで
その役のなかでもバーチャン役の、もたいまさこ。
もう凄い。
徹底的に台詞を言わないんだけど、もう動くだけで面白い。
こんだけ動くだけで面白い役者さんなんて後ジャッキーチェンぐらいだわ。
まぁ動けば何か大変な事がおきるジャッキーと違って、もたいまさこは何もおきないけど面白い、むしろ何もおきない事が面白かったりも。
なんだろか、神様のようだこの雰囲気は。
もう、こうなるとジャッキーも好きな自分としては「もたいまさこ」がジャッキーばりの事したら腹抱えて笑ってしまうんじゃないだろうか。

「もたい後ろ後ろ!」
「もたい自転車のサドル外れてるよ!」
「もたい時計台から手を離すな!」

ん~・・・・笑うな・・・・きっと。
でもNG集で痛がる「もたいまさこ」を見たら引くだろうけど。
逆にジャッキーが「もたいまさこ」的な動きをしたら・・・・笑えないな・・・・心配するね。

「ジャッキー・・・どうした調子悪い?どこ痛い?ポンポ?ポンポ痛い?ジャッキー、ポンポ痛い?時計台から落ちた時とどっちが痛い?ん・・今なの?今の方が痛いの?・・・んじゃ救急車早く!」ってなるなぁ。

まぁそんな感じで「もたいまさこ」見るだけでも見る価値アリです。
唯一台詞言う所なんか、チョイとほろっとくる。

それに日々五感で感じるが特に意味があるわけでは無い物への暖かさを萩上監督は良く食事で表現するのだが、「かもめ食堂」ほど食事に固執してなくて、そこら辺もよかった。
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