くろいひと

パッションのくろいひとのレビュー・感想・評価

パッション(1982年製作の映画)
3.9

映画のなかでまた『パッション』という映画を撮り、その映画のなかで名画を活人画として撮るという、二重三重にメタ構造をもつ作品。

色や光や構図における絵画的手法が、解体され、かたちを変えて、映像的に試みられる。
題材が題材だけに、散りばめられた警句は(政治的な状況であっても)政治色が鳴りを潜め、芸術・創作へのつながりを感じさせるもの。
そして、ゴダールらしからぬ余韻を残すラストシーン。

「計算された本物らしさが現実から遠ざける」という冒頭で宣言されるセリフが象徴的。
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