チッコーネ

うつせみのチッコーネのレビュー・感想・評価

うつせみ(2004年製作の映画)
4.2
相変わらず風変わりな設定だが、監督作品の中では珍しく穏やかな雰囲気が全体を覆っているため、多少リアリティに欠けても気にせず観進められる。
そのファンタジックな『愛され手法』は、世の評価と支持を受ける中で、監督が手にした自信とテクニックに裏打ちされているのかもしれない。
作品の根底には社会からの疎外感が濃厚に漂うが、メソッドのメの字も感じさせないジェヒの演技とピュアな存在感が、作風へ見事にハマっている…、これも演出の勝利。
スチールにも使用された3ショットの構図は非常に映画的で、強く印象に残った。
またゴルフボール事件に巻き込まれたカップルの描写がなぜか滑稽で、不謹慎な笑いを運ぶ。

個人的に最近、韓国映画を20年分ぐらい遡りながら積極的に観ているのだが、やはり監督作品はタッチがかなり異質であることを再確認。