緩やかさ

エルミタージュ幻想の緩やかさのレビュー・感想・評価

エルミタージュ幻想(2002年製作の映画)
4.0
手持ちのハイビジョンカメラによるワンカット撮影。
「1917」「バードマン〜」等、編集技術を駆使したワンカットではなく、映像編集無しの、ガチでワンカット映画です。

ロシアのエルミタージュ美術館を豪華絢爛な撮影セットに見立て、時間軸も不思議な雰囲気の幻想的、幻惑的な絵物語が繰り広げられます。

ワンカットと聞いていたので、こちらも独特の緊張感を持って視聴します。

カメラワークは計算を重ねられたものだと思いますが、かなり細かい動き、パンやクローズアップをしながら美術館内を視聴者の視点で移動していきます。(ので失敗しないかとてもドキドキします)

大勢の出演者による壮大な舞踏会のシーン等もあり、全てのスタッフ、演者が周到な準備をし、心を一つにして臨まないと撮れなかった映像でしょう。

監督はロシア映画界の巨匠とのことですが、この映画の制作にかける並大抵でない執念を感しました。

撮影に与えられた期間は一日。本編90分を撮り切るのに3回は途中でNGが出て、4テイク目で成功したそうです。

wikiを見ると<撮影>でティルマン・ビュットナーという方がクレジットされています。
ものすごい重圧の中、手持ちのカメラで撮影を完遂したとするとMVPに値しますね。

ビュットナー、オマエがイチバン!

制作過程の話に終始しましたが、映画の内容自体も独特の世界観に耽溺することができて素晴らしかったです。
実験的でチャレンジ溢れる作品でした。
たまにはこんな映画も良いと思いました。
緩やかさ

緩やかさ