エルミタージュ幻想の作品情報・感想・評価

「エルミタージュ幻想」に投稿された感想・評価

AS

ASの感想・評価

4.4
スクリーンでは初鑑賞。
やはり舞踏会以降が圧巻。共用階段から回廊へと下りて行く人々の生々しさ、その間を速度を上げながら移動するあくまでも無機質なものとしてのカメラの動線、両者がシンメトリーの構図の中で見せる調和がたまらない。
観る者をソラリス風の海へと誘ったところで聞こえてくるソクーロフの囁きも忘れ難い。タイトル(原題)への素晴らしき回帰
友達に誘われた。彼女は僕の友達の中でもぶっちぎりで感性的な人だから、ある意味「覚悟」を決めて着いていった。
予想に違わず、見る人を選ぶ映画だった。ストーリーがほとんど存在しない。ただ、エルミタージュの中に現れては消えていく歴史の美しい幻想と遭遇し、一人称視点でゆっくりと進んでいく。映画というと無条件に物語を観に行くと決めつけてしまうが、これは美術館や博物館に行くのに近い作品だ。物語ではない。美を観に行く。
こういう映画は、だからこそ畏まらずに、悪い言い方をすれば適当に見て、のんびりと美に浸るのがいい。例えばロシアの歴史に詳しい友達がいれば、その人と話しながら観るのがいい。音楽や絵画に詳しい友達がいるとなおいい。暗い部屋で、ソファにゆったりと座って、夜に、幸せな気持ちで観たい。
渡

渡の感想・評価

3.5
ワンカット映画。それっぽく言うとモンタージュの究極系、脱モンタージュ。
ロシアの歴史はほとんど忘れたので、出直そう。
珍しく邦題が原題より良い。
Qちゃん

Qちゃんの感想・評価

4.1
鑑賞後のBSでの解説も大変興味深かった。

ワンカット長回しのみで全編撮り通した驚異の作品。ヒッチコックは同様の撮影手法を「ロープ」でトライして結局2,3か所カット入れて繋げたが、これは本当にぽっきりワンカット。1時間半のこの映画を撮れるのは、気候やらの関係で4時間だけだったらしい。2回失敗して、3回目で完成。その根性!さすが国家の威信を賭けたロシアと、凝り性職人国家日本とドイツの共同制作!!

これまで観た映画の中で一、二を争うほど邦題が秀逸。ロシア語の原題は「ロシアの方舟」だが、映画の雰囲気も映画自体も示しているという意味で、この映画には「エルミタージュ幻想」の方が断然合っている。ロマノフ王朝時代の王宮であった、現エルミタージュ美術館が舞台であり、実際にエルミタージュ美術館内で撮影された。その邦題通り、夢・歴史・生死の旅人のような者が、王宮が栄華を極めた時代から近現代までの入り混じった、夢幻のようなエルミタージュを彷徨う。

全編を通して、これまで体験したことのない、不思議な雰囲気を味わった。特殊な雰囲気が演出されて漂ってるとかいう類のものではなく、シュールレアリズムや抽象的な作品から得る、悪夢や潜在的な感覚とも違う。この映画を観ながら得る感覚は、現実に私が実際に夢を見ている時の感覚に近い気がする。特に、第三者的に見てる夢の感じだ。ありのままの自分の意識が、当然のようにそこにいて、その世界に馴染んでいて、それでもやはりどこか自分の立場は、その世界のよそ者。でもそこがなぜか懐かしくて、楽しくて、去りがたく少し寂しい。なんともいえない、不思議な感覚だ。
I

Iの感想・評価

-
さよならヨーロッパ、からの川しか分からなかった。
幻想を支える本物の迫力、なのにメタオチって面白い。
ワンカット勿論すごいけどやっぱり全編だと同録は無理なんだな。
ディズニーの乗り物体験をちょっと厳かにした感じっぽい。

ワンカットだったらしいけど、わたしには2カットにみえました。(1回寝た)
一人称視点
民族感情
永遠の人々
唾をかける
絵とわたしの間の秘密
でも私は双子座で好奇心が強い
それより猫の話をしましょう
小鳥たち
私のヨーロッパ人
Ryosuke

Ryosukeの感想・評価

4.2
寝不足で見たが最後まで眠くならなかったのでソクーロフの眠さの秘訣?(特に「モレク神」と「牡牛座」)はフィルターと画面の暗さにあるようだ。
これだけの規模の作品をワンカットで撮影したとは信じがたい。カメラマンの労力を思うと頭が下がる。滑らかなカメラワークが美しい。編集が無いながらも、活発なダイアログのあるシーンと、唐突に静けさや緊張感に満たされるシーンが繰り返されることで、緩急がついている。
設定のアイディアも面白く、当然衣装や美術も豪華。ロシア史や美術史の素養があればもっと面白そう。
「ヨーロッパ」と別れ、過去の人々の歩みを追い越し、現代の人々が泳いでいくべきモノクロの海へと繋がっていくラストは幻想的で素晴らしい。
白

白の感想・評価

4.0
全てが本物だ。
夢と現実が交錯するエルミタージュという一繋がりの幻想の中を観る者も彷徨う。
19cヨーロッパの視点(キューステン)と現代ロシアの視点の対比。キューステンはヨーロッパ的理性によってロシア批判をする一方でロシア語に堪能であることが強調されるのは、ロシア自身がその内側に抱え込んだ西欧に自己中毒的であるということを示す。
古典主義からロマン主義にかけて培われた芸術の世俗化傾向と終着点である現代の堕落振りに抗弁を為すかの如くロマノフ王朝の回顧と当時の芸術の称揚を反復させるが、これは近代化のソクーロフ的脱構築であり、社会/世俗からの欲求と宗教(キリスト教)的欲求との間で芸術が分裂せざるを得なかったことを浮き彫りにしている。ただの文化紹介に陥ることなくソクーロフは見事に映画的スペクタクルへとコンテンツを昇華させている。そしてその鑑賞の前提には人間=芸術を理解するモノがあり、ソクーロフはそれを信じたい。エルミタージュは芸術作品を一様に文化遺産として展示する世俗的な場所に堕したかどうかは判断できないが、エルミタージュはまさしくロシアの歴史の方舟であり、その本質が宗教的、民族的であることが解き明かされる。
それ故にキュスタースの「さらば、ヨーロッパ」が口惜しくて堪らない。
Scriabin

Scriabinの感想・評価

5.0
虚無感に満ち満ちた美しい宮殿。ソクーロフの声って、人を眠くする効果あるかもしれない。
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