カネコ

TAKESHIS’のカネコのレビュー・感想・評価

TAKESHIS’(2005年製作の映画)
3.4
北野武監督のフラクタル三部作・第一弾で座頭市の次の公開作品。

映画監督であり俳優のビートたけしと売れない俳優の北野。2人が顔を合わせた日から2人の夢と現実が交錯する。

デビッド・リンチ監督のマルホランド・ドライブとか鈴木清順監督のツィゴイネルワイゼンのようなシュールレアリズムな作風の今作。

この手の映画はデビッド・リンチ先生に鍛えられてるので誰の夢なのかを意識して観ると自分なりの正解を見つけやすいかもしれない。

おそらくビートたけしがメイクさんに入れ墨を描いてもらってる間のうたた寝で見た夢なんじゃないかな。

冒頭の30分位までに出てくる人とか会話がその後の夢に繋がってる。

自分にそっくりの北野に会った事で胡蝶の夢のように北野とたけしの夢と現実が繋がったように見えるけど、北野の世界に出てくる人物には現実味が無い。

隣に住む女はたけしの愛人だし、岸本加代子はやたらメタ的な発言してくるし。
北野のボロアパートに住んでいる売れない俳優という設定はたけしとマネージャーが話していたまんまだし。

では冒頭とラストの倒れた日本兵たけしと敵軍のシーンはなんなのか?

これは本物の北野武本人の夢で銃を向ける敵軍兵はこの映画を観ている観客とか批評家なのかもしれない。

現実の北野武と映画の中のたけしもまた胡蝶の夢のように夢と現実が交錯してると考えたら結構面白い映画だなと思った。ただみんなの期待するたけし映画とはかなりかけ離れてるかな。

ラーメン屋のくだりとかまだ子供の早乙女太一とかタップダンスとかたけしの小ネタは今作でも健在。
終盤の星の銃撃シーンはロマンチックさすら感じた。

多分当時のたけしのお気に入りだったゾマホン。ここがヘンだよ日本人でゾマホンと共演してたドイツ人と付き合ってる友だちがいたなぁとか思い出したりした。
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