デニロ

黒の超特急のデニロのレビュー・感想・評価

黒の超特急(1964年製作の映画)
4.0
1964年製作公開。原作梶山季之。脚色増村保造、白坂依志夫。監督増村保造 。

本作の藤由紀子という女優、いや俳優がクールビューティで、などと書いても性差別になってしまうのだろうか。男性、女性という表記もそのうちになくなるのだろうか。それは差別はなくなったということになるのだろうか。こんなことを思ってしまうわたしも事の本質が見えていないのかもしれない。言葉の使い方の不便さは克服できるだろうが、それと同じようにジェンダーギャップが克服できるとは思えない。ジェンダーギャップ指数で日本は116番(世界経済フォーラム)なのだそうで、それが妥当な評価だと思うのはわたしだけではあるまい。上位が、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデン等々で立法、行政の分野で女性が長を務めている国々だ。議会に立候補することすら難しい日本国が下位にいるのも仕方がない。経済参画についても、国際的に活動するような大企業は仕組みを変えて対応しなければ取引が出来ぬので格差は縮まっているのだろうけれど、圧倒的な数の中小企業はそのレベルではないだろう。そもそも中小企業と大企業の給与格差が凄まじいのだから。連合がベースアップを含めた賃上げ云々を言っているけれど、労働貴族の彼らも自らは何もできないことを分かっていてスローガン化している。虫唾が走る集団だ。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数の仕組みはそんなところなのだろうけれど、そんな権威の指数を気にするよりも、もっともっと身近な仕組みを変えていかなければことは収まらない。多くの結婚経験者は思うだろう。結婚して以降自己決定権がなくなったしまった。まずはそれがどういうことなのかを解き明かしていくと社会の仕組みを変えることが出来るのかもしれません。

で、藤由紀子という女優さんがクールビューティで観惚れてしまうんですが、物語は彼女を中心に回っていきます。それも性的搾取、経済的屈従そんな背景を彼女に背負わせた揚げ句に映画を終わらせるためだけに殺されてしまいます。そんな馬鹿な。

1964年に東海道新幹線が開通し、本作の舞台岡山県で起こった、その後に山陽新幹線と名付けられる第2次新幹線の、用地買収に絡む汚職を描く。岡山の小さな不動産屋田宮二郎が濡れ手に粟で2000万円の利益を得たが株で大失敗。その後、かの用地買収が実は新幹線の用地買収だったと知り、おいおいもっと寄こせよ、と仲介者加東大介にせびっていくうちにとんでもないことになっていく話。それにしてもラスト。警察があんなことするのか?するかも。

そして、クールビューティは本作公開の翌年田宮二郎と結婚するのです。

角川シネマ有楽町 大映創立80周年記念映画祭Road to the Masterpiecesにて
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