黒の超特急の作品情報・感想・評価

黒の超特急1964年製作の映画)

製作国:

上映時間:95分

ジャンル:

3.9

「黒の超特急」に投稿された感想・評価

藤由紀子の足の美しさがモノクロの画面に輝く。高速で進む増村保造映画は観ていて相性がいい。濃密な画面構成。惚れました。
ギラギラする田宮二郎と、田宮ホンモノの奥さん藤由紀子のハッとする美しさ。西武グループ堤氏(加東大介)と運輸大臣工藤(佐藤栄作)の実録物として素晴らしい映画。(詳しくは→ http://hamarepo.com/story.php?page_no=1&story_id=3860)。増村構図の美しい重厚なドラマ。

このレビューはネタバレを含みます

1964年大映。黒シリーズ第11作(最終作)。原作は梶山季之の『夢の超特急』。新幹線敷設に伴う土地買収を利用し金儲けを企む男達の野心と欲望。バーで働きながら大学卒業、「男に頼らないで一人で生きていきたい」という動機から金に執着するようになった女を藤由紀子が演じて美しく、脚線美が印象に残る。増村監督の黒シリーズの女性は全員薄幸そうだ。東京から来た人間(なぜか関西弁)が地方の土地を買い叩くといった、当時の東京と地方の関係性が興味深いのだが、場所に関して最も気になったのは愛人のマンションが赤坂にあること。
たぶん想像するに、田宮二郎って人はすごーく真面目で、いい人なんだと思う。なので、「思いっきりワルぶってます」と言った過剰な演技に面喰らってしまう。が、まあ増村演出がそういった過剰なところを吸収し遊んでいるみたいなので、楽しめるっちゃあ楽しめる。敵役が芸達者な百戦練磨の加東大介なので分が悪いっていうのもあるが。
藤由紀子の髪を搔き上げながら悪巧みし、料亭のBBAを思いっきり引き倒す田宮二郎。そんな過剰さ爆発な演出が素晴らしく、水死体の顔をフレーム処理することなく、「ちゃんと」見せて撮るところがいかにも増村保造らしい。
くずみ

くずみの感想・評価

4.0
加東大介が車を降りた瞬間から展開が超特急。中心を外したり、人体を大胆にトリミング(田宮二郎の顔さえも)したりする構図が多用され、サスペンスの不安感を増幅させている。
笑っちゃうくらいゲスい人々の群れ。春本富士夫や上田吉二郎ら、一癖ある存在もアクセントに。
「やつらだけに甘い汁は吸わせねぇ」

東奔西走するしゃべくり加藤大介。セリフが『七人の侍』の1000倍、『用心棒』の10000倍はある

「悪党にならんと金儲けはできへん!」

加藤大介が首を絞められて気を失い、水をかけられて目を覚ますシーン

誰もがゆすりのネタを探している。つーかみんな口軽いよね
冒頭に「これは架空の物語である」と出るほどリアルな増村保造監督作品。 
藤由紀子が、前年の『夜の配当』と同様、田宮二郎と共演している。(逆かもしれないが、自分は藤由紀子中心に観ているので、この順である。) 

岡山の土地を「自動車工場用地」と言って購入画策する中江(加東大介)に話を持ちかけられる桔梗(田宮二郎)が話に乗ったところから、この物語は始まる。 
中江が持ちかけた土地は、実は「新幹線用地」だったことを桔梗が知り、追求していくと新幹線公団の理事=財津(船越英二)とその秘書だった現愛人の田丸陽子(藤由紀子)の存在が分かってきて、汚職事件にも関わる問題であることが桔梗には分かってくる。 
桔梗は陽子と、部屋を出ていく条件で肉体関係を持つ。真実を追求しながら金も中江に要求エスカレートしていく桔梗。陽子という女を殺せという財津の義父により中江が手を染める殺人。
そして……物語は続く。

藤由紀子は、相変わらず美人であるが、「夜の配当」の方が良かった。この作品では、「とにかく男なんかに頼るのイヤよ」という強気の女性像として芯が通った演技であった。

田宮二郎は、3人のヤクザから袋叩きにあう場面で、転げまわる演技に迫力あった。 

本作は、黒い人間どうしの危ない関係をハラハラ見せてくれる、なかなかの佳作である。
面白かった。
もた

もたの感想・評価

3.5
明らかに胡散臭い男に騙される主人公も、かっこいいというかなんか独特の顔つきで、追いかけっこするわ、ボコボコにされるわ、フラフラだわ、女性も首絞められるわで、すごく異様なギトギトした何かだった
かめの

かめのの感想・評価

3.5

ひぇー、素晴らしい大衆映画だ!!
酔いどれ天使を彷彿とさせる、長々とした暴力行為。そして続く、緻密な女の死ぬシーン、加東大介が絞め殺されそうになるシーン。
黒のシリーズは初めてだったけど、これは全部見たいなぁ。しかも、数作は文芸映画というか、文学作品が原作なんだよね。

終盤が呆気無くて、こんな終わりかいと拍子抜けさせるところも中々気に入っている。人の欲なんてね、しょーもないもんなのよ。人間がもがいて、必死こいてる分、滑稽ですねぇ。
LEONkei

LEONkeiの感想・評価

3.6
新幹線開通に伴い土地買収に絡む、不動産屋…仲介業者…新幹線公団…政治家…皆、金儲けを企む悪人揃い。

今も昔も男は女に惑わされココロ奪われる生き物で、気がついた時は抜け殻同然すべてを失う。

登場人物全てが金に強い執着を持つのは、高度経済成長期で恩恵を受けられない貧困からくるものなのか…

或いは成長経済社会の流れに乗って、更にガメつく儲けようとする野心なのか…

戦後、這い上がれないほどの深く暗い闇底の失意に叩き落とされ、希望を失い絶望を味わった日本人。

だからこそ金に執着する事は現在の平和ボケした社会と違って、純粋に生きる為の素直な人間の本質的な行為なのかもしれない。

加東大介はどんな映画でも脇役ながら存在感が有り、改めてその演技に実感。

色々な意味で、逞しく力強い時代と人々ですね..★,
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