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恐怖分子のbennoのレビュー・感想・評価

恐怖分子(1986年製作の映画)
4.9
エドワード・ヤン監督作品2作目…。

カメラマンの青年…小説家の妻と病院勤務の夫…そして不良少女…一見何の関係もない4人の人生が徐々に交差していく様子を描いた群像劇…。

不良少女シューアンがかけた一本のイタズラ電話…彼女が撒いた『恐怖分子』が拡散し、それによって関わった人物はありもせぬ想像を膨らませ破滅へと向かう…。

冒頭から銃声、パトカーのサイレンと不気味で不穏な空気が漂いますが、映像は美しく色彩や明暗のコントラストが抜群に素晴らしい。暗いシーンが多い中、白い衣装を多用し光の反射を利用するところも見事。

また、小道具の使い方の周到さがとても心憎い…プラターズの ♬『煙が目にしみる』をBGMにしたシーンでは第一騎兵師団のマークのついたジッポー(これは伏線となるので…(*゚x゚​*)モクヒ)…シューアンがパンツの裾に隠しているナイフも面白い…そして言わずもがな今作、凶器のトリガーとなる電話…固定電話や公衆電話など色とりどりの電話機が使われ、時代を感じさせます。

このように"物"を映すショットが多用され…物質的に豊かであることを映し出す一方で、現代人の人間関係の脆弱性と孤独を描いていきます。



  〜〜〜⚠以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜









シューアンがかけた電話…

愛人を装って小説家の妻にかけられたものでした…。

そのことで医師である夫リーチェンは妻を失い、昇進間近の職も失うことになります。

そして孤独と絶望の中…彼は銃を手に姿を消します。

ラストもヤン監督は魅せてくれます…その後、リーチェンの取る行為は…我々観ている側が望む行為! …「よし!」と思わせ…実は夢オチ…!!

ただ、だからこそ、その後に続くシーンではリーチェンが愛おしくなり尚更痛ましく思えるのです…。
見事なラストです!!


thanks to; レネリーさ〰︎ん.。o♡⋈♡*。゚
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