みや

レナードの朝のみやのレビュー・感想・評価

レナードの朝(1990年製作の映画)
4.5
さよならを告げて立ち去ろうとするレナードの腕を離さず、ゆっくりと体を寄せてダンスするポーラ。体の痙攣が止められないレナードなのに、ゆっくりと体を動かしているうちに、だんだんと痙攣も治っていく…。

実話をもとにしているとはいえ、きっとこんな事実は、実際にはなかったことだろう。
でも、映画的な表現として、深く深く心に刻まれる素敵なシーンだった。

残念ながら、薬の効き目は長くは続かなかった。
しかし、薬以上に大切だったのは、彼らへの周りの人々の眼差しと関わり方。そのことが、2人のダンスで象徴的に描かれる。

恋した彼女を前に、精一杯痙攣を抑えようと振る舞うレナード。そのロバート・デ・ニーロの演技が素晴らしい。

ドクター役のロビン・ウィリアムズも、患者たちとの関わりから得られる医師としての喜びと苦悩を、表情と仕草を通して、気持ちが体から滲み出ているかのような演技をみせる。

出てくる街の風景も、時代の雰囲気も、あと、今ではすっかり見なくなったナースキャップや小切手などの小物等も、観ていて懐かしい。

間違いない名画の一つ。
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