みや

遊星からの物体Xのみやのレビュー・感想・評価

遊星からの物体X(1982年製作の映画)
4.0
見ているだけで、生理的な嫌悪感を抱かせる物体の造形は、やはりお見事としか言いようがない。後の様々な作品に影響を与えて来たことを感じさせ、今のVFXと比較しても、充分に高いクオリティなのはさすが。

「閉鎖空間の中で、誰かが人間以外の生物に乗っ取られていたとしたら」というシチュエーションは、広く考えれば、人間が様々なことをきっかけに、他者に対して疑心暗鬼になるメタファーとしても受け取れる。
生物学者は、「人類を守る」という選択を口にするが、結局描かれているのは、「自分が生きられないなら、みんな道連れにしてやる」という登場人物たちの利己的な姿。
その人間の本能的な反応が、実は一番の恐怖だったりする。

あと、昔の作品を観ると、出てくる小道具などにも余計に目が向く。
40年以上前だと、パソコンのモニターも、あんな感じのドットだったなとか、防寒着も、今ではどんどん機能的に進歩してるけど、あれは重くて寒そうだなとか…。
その中で、飲んでるウィスキーはJ&Bで、ビールはクアーズ。そういえば、「食」っていうのは、ドラマチックな変化が少ないよなぁというのは、ちょっとした発見だった。
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