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レナードの朝のSIのレビュー・感想・評価

レナードの朝(1990年製作の映画)
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2018.3.5
ノートPCにて鑑賞

自分がちょうど神経内科を回っている時であるので鑑賞に至った。
オリバーサックスというアメリカでは有名な神経科医が、実際にクリニックで自分が体験した奇跡を本にまとめ、その著作をベースに映画化されたものである。

このハートフルな映画の主役を務める二人がロバートデニーロとロビンウィリアムズという時点で間違いなく名作であり、事実二人の演技を観ていられるだけで自然と時間が過ぎていってしまった(ただ、ロビンウィリアムズは彼が屈託のない笑顔をすればするほど彼のその後を思い出し絶望的な気分になる)。
特に、重度のパーキソニズムを発症した患者役を務めるロバートデニーロは、冒頭の仮面様顔貌、レボドパを投与されて回復直後の固縮やかすれ声、そしてその活き活きとした笑顔、またWearing-Off、薬の副作用が起きてからは安静時振戦、ジスキネジアなど、その全ての演技が上手すぎて観ていて笑ってしまった。彼の笑顔だけで、このストーリーのメッセージの説得力がぐっと増す。
また、良い雰囲気であったエレノアと、ジスキネジアが発症してから再び食事を取るシーンでは、健気に別れを切り出して立ち去ろうとするデニーロの手を掴みおもむろにダンスを始めるエレノア、最初はジスキネジアがひどく体が勝手に動いて上手く踊れないものの何故か次第に症状が落ち着き紳士のようにエスコートできるようになるデニーロ、全てが最高だった。とにかくロバートデニーロは演技が上手すぎる。

映画の節々から感じられる人生をひとまず肯定する姿勢、薬の素晴らしさはきちんと表現しつつ、しかし最後にはやはり人の愛が何よりも薬になるというまとめ方、脚本の素晴らしさは原作から由来するのかもしれない。

無難すぎる位に良い映画。
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