ぶみ

テラビシアにかける橋のぶみのレビュー・感想・評価

テラビシアにかける橋(2007年製作の映画)
3.5
この橋を渡れば、またきみに会える。

キャサリン・パターソンが上梓した同名児童文学を、ガボア・クスポ監督、ジョシュ・ハッチャーソン、アナソフィア・ロブ等の共演により映像化したドラマ。
バージニア州の田舎町に住む少年が、隣に引っ越してきた少女とともに、小川の向こうの森に「テラビシア」と名付けた想像上の王国を作り、交流を深める姿を描く。
原作は未読。
5人姉弟の真ん中で姉弟の中で唯一の男の子となる主人公ジェスをハッチャーソン、隣の家に引っ越してきた作家夫婦の娘レスリーをロブが演じているほか、ジェスの両親としてロバート・パトリック、ベイリー・マディソンが登場。
物語は、学校で友達がおらず、いじめの対象となってしまっているジェスが、レスリーと知り合ったことから、二人だけの秘密基地で想像の王国「テラビシア」を共有し、徐々に心が打ち解けていく姿が描かれるが、想像を頭に張り巡らせ、夢の世界に没頭することは、誰もが体験したことではないかと思うとともに、忘れて久しいあの頃を思い出させてくれるもので、それだけで心が締め付けられてくる。
また、その想像の世界を可視化させるため、時折CGを使ったファンタジー色が強くなるが、そこまでくどくないのも好印象。
そうこうしているうちに、中盤で起きる、ある出来事をきっかけに物語の様相が一変、それを受け止めるジェスをハッチャーソンが見事に演じているし、レスリーを演じたロブの利発的かつ透明感溢れる雰囲気も、思わず惹き込まれてしまうもの。
予備知識なしで観たため、ファンタジーが苦手な私としては、予想外のファンタジー要素に面食らったものの、前述のようにそこまで色濃くなく、一部描写に時代に即していない内容があることは別として、児童文学をベースとしていることから、少年少女の淡く繊細な心がきめ細やかに表現されており、毎日が新鮮な体験であったあの頃の感情をくすぐってくる一作。

あれは囚人が鎖を鳴らす音。
ぶみ

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