あしからず

切腹のあしからずのレビュー・感想・評価

切腹(1962年製作の映画)
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なんて率直な題名。
その簡潔さと裏腹に、中身はえも言われぬ複雑な感情になる映画だった。

竹光で切腹する。竹光とは竹で作った刀である。それで自分の腹を自分で切りえぐる。想像しただけでもお腹のあたりがモヤモヤする。このモヤモヤは本作に始終つきまとい、登場人物とシンクロし冷や汗が流れそうな感覚に陥った。流れなかったけど。
三味線の音と色のない画面、そして仲代達矢の抑揚のない語り口調。今から切腹をするという武士の身の上話が明らかになるにつれ緊張感が高まり、やがてその懐からアレが取り出された時それはピークに達する。そして実際に真剣を用いたという殺陣。井伊家の家紋が血で染まる所はグッとくる。また無機物なはずの鎧兜の存在感もすごかった。そしてまた場は整えられ、最後は日本文学のような手法で締められる。

本質は多分ちがうけどこの映画と似たようなことは日々起きてるしネットとかでも日常茶飯事なので問いって大事だよね
あしからず

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