このレビューはネタバレを含みます
居場所の無い人間達が赤の他人の居場所を求めて奔走する、それだけで尊い
ホームレス、セクシャルマイノリティ、アルコール中毒、家庭内不和、堕胎、それぞれの理由で居場所を失ったり奪われたりそもそも最初から居場所が無かったりする登場人物達が真冬の東京で赤ん坊の明るい未来を願って傷ついて走って転んだり落ちたりしながら奇跡を起こしていくのが涙無しで見られない、割に作品自体はカラッとした作風でジメジメし過ぎていないバランスが冴えまくってる
エンターテイメントやアニメーションとしての肝を押さえながらも刺すべきところを刺していく風化しない批評性まで両立してるのが傑作たる所以
強制執行や排除アートで東京だけでも新宿西口公園や上野公園、宮下公園等々のホームレスの居場所を行政が奪っていく時代にこの作品を観ると直視せざるを得ない病んだ社会の在り方について考える良い機会になるなと思った
