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閉ざされた森のmatchypotterのレビュー・感想・評価

閉ざされた森(2003年製作の映画)
3.9
前から気になっててこれは初めて。
面白かった。アクションとサスペンスの同居。

ジョントラヴォルタとサミュエルLジャクソン。2大共演。
共演だけど、現場とその捜査でガッツリ交わることはないが、そのおかげで“何か”が起きた現場アクションと、その“何か”を究明する捜査のサスペンス、2本の濃厚なストーリーが繰り広げられる。

今で言うスーパー“パワハラ”鬼軍曹、サミュエルLジャクソン。絵に描いたような鬼軍曹。
レンジャー部隊の部下を人とも思ってないような徹底した“シゴき”に次ぐ“シゴき”。

レンジャー界では有名な鬼軍曹。
今回も部下に長時間に渡り拘束して野外で実弾訓練を強いて、凄まじい鍛錬を課す。

それを何とか持ち堪えて、基地に戻ってきたかと思えば、荷物を下ろす間もなく、その部隊から選抜して別の“シゴき”開始。

ヘリに乗って何やら森林地帯に。
そこで極限状態に陥っているレンジャー隊員たちに事件が起きる。

現場では仲間同士で撃ち合ってるところを捜索隊に発見され、生還した数名の隊員たち。
だったが、なぜだか、そこで何が起きたのか、歯切れが悪く、口を割らない。

そこで出番のお鉢が回ってきたのがジョントラヴォルタ。
元々そのレンジャー隊に属してた軍人だが、除隊して今は麻薬捜査官。しかも、この時は、麻薬捜査で賄賂を受け取り収賄の疑いをかけられてて、周囲からの信頼を失い気味。

しかし、基地の責任者と窮地の中だと言うこととその尋問の才を買われ、この機密性の高い軍内で起きた謎の“事件”に、異例の“部外者”として捜査に加担することに。

色んな切り口や交渉術を駆使した起点の効いた尋問、ジョントラヴォルタ、キレ者捜査。時に淡白に、時に感情的に。
相手に取り入りながら、口を割らない相手に口を割らせる技術。
スマートでカッコいい。ジョントラヴォルタの

しかし、彼は彼で自分のことや、かつてのレンジャー時代の記憶が喉の奥に使えた感じがあり、上手く取り繕ってるつもりでもそう簡単に真相を掴めない。

一見、極限状態のレンジャー部隊と、“鬼軍曹”のスパルタ教育の内輪モメから発生した事件かと思いきや、さらにその奥がある。

しかし、強烈な“鬼軍曹”と精鋭揃いのレンジャーの訓練の中での出来事という先入観。
さらに“ワケあり”部外者捜査官に、やや未熟な本職尋問官。

訓練の“シゴき”に対する憎悪と、基地に潜む裏の顔。
それぞれが表で表の役割を演じ、裏で裏の顔と全く別の問題と対峙してる。

最後は結構度肝を抜かれる。アッと驚く。
どんでん返しというか、二転三転というか、騙し合いというか。
一瞬、何が起きてるかわからないことになる。

“8”。
「話の“つじつま”さえ合えば」。

ぶっちゃけ、最後の展開がなくてもそこそこ面白いな、と思いながら観てて、まさか最後にそんな捻りが来るとは思わず。
良い意味で裏切られるというのか、騙される映画で良かった。

『コンフィデンスマンJP』的な、最後まで表を見せながら一気に裏に振り切る的な。

このキャストと、このキャラクターと、この事件と、この捜査。
噛み合い過ぎてて、結果的に気付けば、というか、気付かないうちに観てるこっちにも先入観が確実に植え付けられて、先読みをさせてくれない。

こういう映画は観終わった後の「映画観た」感がとても心地よい。


F:1966
M:8441
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