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地獄の警備員のkaorucoのレビュー・感想・評価

地獄の警備員(1992年製作の映画)
4.0
黒沢清監督、主演の久野さん、撮影監督根岸さんによる舞台挨拶付き上映。

『ジョーズ』に代表される「前半に物言わぬ敵に襲撃され、後半は撃退方法を考える」といった従来のアメリカンホラー作品の展開を踏襲しつつ、『羊たちの沈黙』に衝撃を受け、終盤の富士丸(松重豊さん)を口を開くと実は知的なことを言う人物に変えたと仰っていたのが面白かった。

制帽を入れたら2メートルはあろう背丈にロングコート。松重さんの長身をここまで使い切った映画は珍しい。始まってしばらくははっきりとした姿が出てこないので、得体の知れない怪物がじわじわ迫ってくる怖さがあった。螺旋の外階段や地下の電気室、警備員の詰所などが暗くて何とも言えない薄気味悪さ。

巨額の数字が飛び交うバブル期の商社とヒロインのピンクのスーツ、華奢なイヤリング等と、「地獄の警備員」とのギャップが面白い。それにしてもなんてストレートなタイトル!
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