ミズキ

ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!のミズキのレビュー・感想・評価

4.0
さすがのエドガーライト監督。大人になれない男たちを都会から田舎の警察署へと移ったサイモンペッグによって映し出す。

個人的には序盤のやけに低い声のナレーションと共にサイモンペッグが紹介されている時点で笑えてきて、それだけで満足であった。しかし、加速するように、その後のセリフの掛け合いや回想シーンの冥利によってさらにテンポアップして、主人公は田舎へと一瞬で移ってしまった。

警察官として飛び切り優秀な主人公であったが、いわゆる退屈な田舎は、彼の性には合わずにムカムカとしてしまう。そんな生活の中でも、違和感を感じてしまう主人公は警察官として本物であった。もちろん、その違和感は伏線となり、後々回収されることになる。

この映画は、ラストの盛り上がりや常にそこにある笑いに目がいきがちだが、作った人がエドガーライトということを考えると、もう少し構造的に見られる。

大人になれない男たちを描くライト監督だが、今回の主人公は大人にほど近い人物で、面白みも全くない。むしろ主人公以外が子どもに見えて来る始末で、「まともなのは俺だけ」なのだ。
終盤、彼は自分にとって大切なものは何かを思い出すかのように、まるで「映画のように」キャラが変わっていくが、ここにこの映画の本質が表れているのではないだろうか。
最後の暴れっぷりは、見ているこっちとしては映像酔いをしてしまうほどであるが、「本当に大切なもの」は彼の子どものように振る舞うことに現れているのだ。また主人公以外の人々も子どものようなキャラクターで主人公とは敵対し続けていたが、そんな子どもじみた彼らが成長したというより、遊び心を取り戻した(身につけた?)主人公とは馬が合うようになる。
ここで描かれたのは、遊び心の大切さだと思う。ステレオタイプな「大人になる」ことが全てじゃない。時には子どものような遊び心を身につけることも、「大人になる」ことに繋がるはずであると、その姿は語っている。
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