誰よりも優しい心の持ち主であるヴェラは望まない妊娠をしてしまった女性に堕胎を長年し続けていたのだが重罪に問われてしまう。
戦後のイギリス社会をよく反映していたがこの映画が1番伝えたかったのは堕胎を罪とするイギリス社会への批判ではなく、「全てを赦すことが愛」ではなかろうか。人のためとはいえ、犯罪を犯してしまったヴェラに同情はできない。しかしどんな罪を犯しても家族なら赦せるはず。終始暗い映画だったが家族の絆は伝わってきた。
ただ堕胎が後に合法となるのはやりきれない。これで罪に問われた人は当時たくさんいたろうに。
イメルダ・スタウントンの何も喋らず涙がツーッと流れる演技は迫真だった。悲しさと混乱とあきらめが混ざった表情のように見えた。なかなかできる演技ではない。