ぶん

ヴェラ・ドレイクのぶんのレビュー・感想・評価

ヴェラ・ドレイク(2004年製作の映画)
3.9
確かにヴェラは間違ってた。
なのに赤ちゃん殺し!汚らわしい!..そんな言葉にムカつく自分。
女はいつだって弱い立場の中で悩んでいるんだ!そう叫ぶ自分がいるからだ。
でもヴェラは間違ってる。あぁーこの矛盾は何なんだ。ヴェラは言う女性にしか分からない。

いつでも朗らかに近所の人たちの世話をして、困った人がいると率先して手助けする心優しい人。
おそらく彼女は自分がその人の立場だったら..を考えてしまうのかも知れない。優しい人はいつでもそうだ。
でも、そう思って行動する人は自信のある人なんだなと思う。そしてその自信がとんでもない結果に繋がってしまうのだ。
不倫相手の子を身ごもったであろう女性は躊躇する「赤ちゃんを殺すなんて」と。
若い女性たちも精神的ケアもないままそそくさと行われる堕胎に不安を募らす。

確かにヴェラは本当に困ってる女性を助けたかった。その信念だけで突っ走っていたのだろう。
連行されてからのヴェラの心情に気持ちが入って行って胸がつまされた。

貧困に傷つき、法に傷つき、戦争に傷ついたこの時代の人たちの苦しみがしみじみ感じられる作品でした。
ぶん

ぶん