kou

戸田家の兄妹のkouのレビュー・感想・評価

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)
4.5
東京物語にも通じる、大家族の崩壊を静かな視線で描いた傑作。ある大家族の集合写真から始まるのだが、彼等が次に集まるのは父親の葬式となる。父親の死をきっかけに、家族がバラバラとなっていく哀しさ、無情感を鋭く描いている作品だと思う。

冒頭の写真撮影で、兄妹の立ち位置、関係性、性格までも見事に描く。母親と、その世話を任される三女は長男、長女の家で居場所の無さを感じる。明らかに面倒そう、厄介そうに扱われ、最後には母親と三女2人だけで暮らすことになるのだ。

残酷なその展開の後、この映画のカタルシスともいえる場面が来る。父親の一周忌に集まった兄妹に、次男が憤るのだ。その見事さ、そしてその後の顛末も良い。家族という共同体が崩壊していく様、そしてその中で新しく小さな家族が再構築されるまで、人間というものを鋭く描く、傑作だった。
kou

kou