佐藤克巳

戸田家の兄妹の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)
5.0
カラー着色版で再見した。前半の音声の乱れは酷かったのだが、後半からは色彩も含めて素晴らしく、小津安二郎監督の戦後集大成となった「東京物語」とも相通じる家族の肖像が巧みに描かれ既に小津調は完成していた。経済界の大立者の父藤野秀夫が急死し母葛城文子と三女高峰三枝子が、長男斎藤達雄宅に引き取られたがその妻三宅邦子と肌が合わない為、長女吉川満子宅にたらい回しされた挙句、空き家の別荘に移り住む。一周忌の日、次男佐分利信が天津から帰国し、先ず傍観者だった次女坪内美子夫婦を抗議したのに続き兄、姉も批判し、二人に天津行きを提言した所承諾した。今度は高峰が、佐分利に友人桑野通子との結婚を勧め、早速桑野が訪問すると佐分利はそそくさと海岸に逃げる結末に爽やかな後味が残った。
佐藤克巳

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