とみー

戸田家の兄妹のとみーのレビュー・感想・評価

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)
4.2
東京物語の原型となる映画。荒削りと言うと語弊があるが、東京物語に比べ単純痛快で娯楽寄りの映画に感じた。
勿論その根底にあるのは戦後作品でも共通する小津監督の家族観で、1941年時点で既に完成していたのだなと思う。

話は家父長を失った未亡人と未婚の末娘(節子)が、兄姉の家を転々するものの邪険にされるというもの。未婚の私からすると節子に肩入れしてしまうが、自分の家族を持ち年齢を重ねれば、受け入れる兄姉側の気持ちも分かるようになるのかなと思う。

そしてストーリーの重さもさることながら、肝心の俳優女優も名優揃いで、三宅邦子さん筆頭に演技が上手過ぎで余計に心にずっしり来た。やっぱり昭和の俳優女優は品もあるし上手いしで、まさに映画スターだと思う。

最後の最後は痛快エンドなので、スッキリとした気持ちで見終えた。80年以上経った今も全く色褪せない小津安二郎監督の作品。やはり凄い。
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