Maoryu002

アラバマ物語のMaoryu002のレビュー・感想・評価

アラバマ物語(1962年製作の映画)
3.6
1930年代のアラバマ。弁護士アティカス(グレゴリー・ペック)は白人女性をレイプした黒人トムの弁護をする。アティカスは事件が女性の父ユーエルによるでっち上げだと見抜いたが、裁判に負けてトムは逃亡しようとして射殺されてしまう。さらにアティカスの子供たちがユーエルに襲われてしまう。

前半は家族の物語、後半は裁判の行方が描かれるが、すべてスカウトの子供目線で進んでいく。
随所に子供の好奇心による行動が挟み込まれ、見えないもの、理解できないものへの恐怖が描かれる。
アメリカ南部における人種差別がメインテーマだが、それも人々の無理解、自分が理解できないものへの恐怖によって引き起こされていることがわかる。

劇中に、無害で美しい曲を奏でる「Mockingbird=メンシツグミ」を殺すという描写があるが、あれはブーを殺すべきではないということなのだろうか、それともにトムを殺してしまった時代と民衆のことなのか。いずれにしてもハッピーエンドではない物語だ。

この映画ではアティカスの公正さを描いているのだが、一方で貧富の差、身分の差、男女差別が当たり前に描かれているところは時代を感じるし、大いに気になった。
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