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ケープ・フィアーのEditingTellUsのレビュー・感想・評価

ケープ・フィアー(1991年製作の映画)
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Martin Scorsese Week Monday

サイコスリラー映画として、彼の本領を発揮している。相変わらず、宗教とか聖書とかが出てきて、我々日本人には少し難しい内容であったが、それを補うスクリプトの言い回しと、カメラワークの特有性が光っていた。

緊迫した場面でのカメラワークは、息を呑むもので、セリフが少なく、音楽のつ移り変わりが計算されて作り上げられている。毎回女性のキャラが窮地に陥ることがあるのだが、そこがなんだか、特徴的だなと感じた。
今作では特に凝ったフレーミングが多く、スリラー映画としては、現実的なフレーミングよりも、違和感を感じさせるフレーミングが重要なんだなと思った。ミラーを使ったリフレクションのショットから、ダッチアングル、お得意のズームインなど。また、会話での高速パンを使った表現も面白かった。

ストーリーとしては、最初の水面に映るリフレクションショットが、クライマックスに向かうところのリマインダーになっていて、ここで決着つくんだなって思わせるあたりも、観客を飽きさせない手法の一つ。サイコ映画だと、どうしてもサイコパスがサイコパスになりきれず、ただの殺人鬼になってしまう作品も多いが、そこをしっかりと双方のストーリーを時間軸を少し操作しながらも、構築していったスクリーンライティングとディレクティングが完璧。

Robert De Niroの演技は、もはやMartin Scorsese監督を体現しているかのような迫力。彼のためにスクリプト、彼のためのフレーミングといっても過言ではないほどしっくりと来る。黄金コンビっすね。
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