ころも

寄宿舎 悲しみの天使のころものネタバレレビュー・内容・結末

寄宿舎 悲しみの天使(1965年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

十数年前に『トーマの心臓』を読み、萩尾望都先生が影響を受けた映画ということで絶対観たいと思うも、当時字幕なしか高値のDVDしか流通しておらず(私が情弱だっただけかもしれませんが)、鑑賞できないままになっていた作品。
U-NEXTでHDリマスター版を配信中と知り、その日のうちに観ました。

詩、タバコ、温室、小鳥。
許すことと愛すること。
『トーマの心臓』や『ポーの一族(小鳥の巣)』の成分がいくつも含まれているように感じました。

萩尾先生が『トーマの心臓』を、エーリクとトーマを生み出したことで、本作のアレクサンドルは救われたと信じたい。
というか、そう思わないとやってられない悲しいラスト。
流れる地面を車窓からぼんやりと見つめるアレクサンドル…展開がわかってしまうからこそあの時間は観ていてつらかった。
本作を観た方のほとんどは『トーマの心臓』をお読みになっているのだと思いますが、もしも未読の方がいれば絶対に『トーマの心臓』を読んでほしい。
(何回トーマの心臓って言えば気が済むんだ)

それと、アレクサンドル役のディディエ・オードパンは三次元に現れたエーリクだったし、ジョルジュ役のフランシス・ラコンブラードはユーリとオスカーを足して2で割ったような上品さがあった。
…いや、順番が逆か。エーリクがディディエ・オードパンすぎて、フランシス・ラコンブラードがユーリとオスカーに分離したのか。(?)
映像もキャストも美しくて上質な作品だったのですが、どうしても『トーマの心臓』への思いが混じってしまうのでスコアはなしで。

しかし、なんというか、ルシアンとアンドレは可哀想ですね…。
ジョルジュは、アレクサンドルに好意を寄せるようになったあと、二人の関係を密告したことをちゃんと反省したのかな…。
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