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それいけ!アンパンマン ブラックノーズと魔法の歌のtubure400のレビュー・感想・評価

3.4
ブラックノーズの不気味さが良い。手下のカーナの不気味な笛の音色で世の中の人々を陰気にすることで力をつけ、人の世が真っ暗になった時に満を持して地上に姿を表し、世界の終わりを告げる…という圧倒的な悪役感には、「呪いの時代」というか、村上春樹の『1Q84』的なものを感じる。陰気になった人々が「新型うつ」みたいな雰囲気になっているのも現代社会への批評を感じる。

では、そういった力にどう処するのか。今回のアンパンマンの答えは「歌」だ。最終的にバイキンマンとドキンちゃんも力を合わせて歌声を上げるところはアツいといえばアツい(ただ、より巨大な敵が現れた場合には簡単に正義側に寝返るバイキンマンの小物ぶりというか、生き方に筋が通ってない感じに辟易もするのだが)。明るい歌声を上げることで、「新型うつ」が治り、みな笑顔になり、「呪詛や怨恨」の象徴のようなブラック・ノーズは姿を消す。まるで新興宗教の宣伝映画のようではあったけれども、『ドーリー』に次ぐ名作という気がした。
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