人は誰でも人生に一度、もしくは数回、
モテキ(モテ期)に遭遇するらしい。
この映画を要約して魅力を伝えることは難しい。ただ紛れもなく名(迷)シーン続出の抱腹絶倒ラブコメディだ。
冒頭、道にでかく書かれている「愛することに関しては、女はプロで男は素人である」という三島由紀夫の言葉に掛け合わせて、森山未來扮する幸世の妄想モノローグの内面の盛り上がりにシンクロした加速感がいい。
彼は最近、数々の名演技を見せてくれているがこの作品もはまり役だと思う。妄想で脳内をこじらせ過ぎた幸世からは情けなく醜くとも憎めない人間味が溢れ出す。そんな彼の暴走は男にとって隠していた内奥に光をあてられるようで、大いに笑いつつも、笑えない感覚に陥ることだろう。
そしてフジファブリックの「夜明けのBEAT」にのって、みんなでワッショイのキラキラオープニングも最高✨ここで長澤まさみ、麻生久美子、真木よう子、仲里依紗そろい踏みで眩いばかりの輝きでテンションUP。途中の森山未來とPerfumeも一緒に街角ダンスもノリノリで、ミュージカル的な楽しさも味わえるシーンが随所にあるのがいい。
また大根監督の楽曲セレクションやカラオケ演出が見事に効いている。夏フェス取材でスタッフバッジ付けて、気が大きくなった幸世がナンパしかけて、彼氏登場で退散後の大江千里「格好悪いふられ方」も笑えるが、他にもジュディマリの「LOVER SOUL」や岡村靖幸「カルアミルク」や女王蜂の曲などチョイスが場面にぴったり!
逐一、心情にはまり過ぎのJ-POPが流れ、登場人物の心情を台詞以上に表現する。メインにもサブに寄り切らない大根監督の選曲が見事。エンディングの「今夜はブギーバック」も秀逸だった。
役者陣もみんないいのだけど、リリー・フランキーが今作でもやはりいい。ナタリー社長役のあのいい加減さがたまらない。
途中、彼が居酒屋で幸世に語る名台詞も印象に残る。「彼氏がいないってことは、世界中がライバルなんだよ!でもな、彼氏がいるってことはライバルがたった一人なんだよ、、、お前とみゆきは運命かもしんねえんだよ!!!」と熱く幸世を励ましたと思いきや「なんてな!笑」の一言。あの人を食ったいやらしい顔 笑
仲里依紗もワンポイントでいい味を出している。ガールズバーの彼女と日常の彼女のGAPが面白く「女は結婚して母親になる。男はいつまでも恋人でいたがるの」とか「藤本さんみたいなタイプってちゃんと需要ありますよ」といった台詞も印象に残る。
真木よう子はドSキャラを演じている時が一番自然で一番魅力を感じる。彼女の名台詞は、フェスの取材でみゆき(ヒロイン長澤まさみ)の彼氏(金子ノブアキ、ぴったり)に妻がいたのを知り、キレて取材を放り投げた幸世が辞めたいと言った時「おめえ、自分に甘えんだよ!もっと自由に、もっと自分の思いのままに、そういうのは限られた人にだけ許されんの!お前は違うの!だから黙って働けバカ!」その怒涛のドS台詞に真実味が宿る 笑
で、ついに長澤まさみの大転換と新境地がこの映画の華。幸世がTwitterで意気投合して男だと思って下北沢のヴィレバン前に待ち合せたら、笑顔満開、色気満開の長澤まさみ=みゆきのインパクト登場。
飲みながらパニックの幸世をよそに彼女の悩殺笑顔アップがずっと続く。大根監督が彼女の色気とエロ可愛さを存分に引き出した功績は大きい。
その後、一人暮らしのなだれ込み感がまさしく青春。男物のTシャツ、ハーフパンツで「一緒寝る?」という核弾頭を打ち込めばほとんどの男は撃沈するだろう。
彼女の寝顔を写メしようと思ったらガバッと起きて、すかさず側転してごまかす森山未來のダンサー力もウケる。
そして長澤まさみの胸をつかみ&水飲み口写しと連発する男子の夢想実現のサービス感✨
その後も、飲み会抜ける時に「私はここでドロンします」と言って手裏剣シュッシュと手真似するチャーミングさ。男のツボを狙い撃ちする彼女に、女の友人はさぞかし少ないだろう。。
ラストの夏フェスのクライマックスはそんなことあるか!?のインパクトなのでそれは是非見て欲しい。
「世界の中心で愛をさけぶ」から7年、長澤まさみと森山未來のディープインパクトな再会に隔世の感。
そして、るみ子を演じた麻生久美子が絶品!カラオケで竹内まりやの没入からB,zの「ウルトラソウル」からの「衝動」のキレっぷり。
幸世に想いが膨らみ、2人カラオケ後、別れた後にビルにハートマークが見えた刹那走り出して「幸世君のこと好きです、大好き、特別に好き」いっきに言い過ぎ 笑。
その後一夜を共にした後の気まずさ。秀逸なのはライブハウスで幸世がみゆきに「あのさ」と声を掛けたらるみ子も一緒に2人同時に振り返るシーン、絶妙な哀しさに凍り付く。
そして、あの幸世に突き放された時の号泣シーンは忘れられない。
あんな嗚咽と懇願は他に、昔ワイドショーを賑わせた野々村議員の号泣演説しか観たことない。。
幸世が「重いんだよ!」と言い放った後、彼女は追いかけてガバッと背後からのしかかるゾンビ感たら🧟♀️笑
「重いなんていわないで、、何をやめればいい?ちゃんと言ってわかんないから、ごめんなさい、ン、ン、ン、ちゃんとするから、勉強するから幸世君の好きな服とか映画とか音楽とか、神聖かまってちゃんとかYou Tubeで聴くから、B,zとかもう聴かないから~」ってインパクト大の名演技過ぎた 笑
麻生久美子の憑依的コメディエンヌの才能は素晴らしい。やり過ぎかとも思えるが、恋愛て至近距離で見たら誰でもみっともないものだと思う。そんなモーメントで流れる星野源。心にすっと風が流れていく。その後、惰性のままリリーフランキーと一夜を過ごし、翌朝どこか突き抜けた表情の麻生久美子が吉牛でおかわりするシーンも印象深い。
とにかく名場面、名台詞の凝縮されたラブコメディと、普段見れない突き抜けた演技を魅せてくれる役者陣の面白さをここまで堪能できる映画はなかなか無い。ある意味、この上なく贅沢な映画だ。
しかし、モテキって誰にも一生に一度訪れるって本当なのか。私はその恩恵に預かった記憶がないのだけど、、、ただ思えば高2の修学旅行の時に(共学だった)バスの中で「一夜を共にしたいクラスメイト」というちょっとドキドキするアンケート企画があって、まあ、やっぱり分かりやすい体育会系イケメンが圧倒的な票を集めたのだけど、何気に3票、自分に入っていて、私はこれを「人生に一切影響も行き場もない瞬間モテキ」と呼んでいる😇笑
隣の席の友人に「3票っていうのがまたリアル!これは本気に違いない!」と眼を皿にしながらどの女子が票を入れてくれたのだろうと周囲を見渡しつつ、妄想膨らませたのを覚えている。だから修学旅行、他の事あまり覚えてない笑 あの3人って誰だったんだろうなぁ~(遠い目)
ドラマは映画を凌ぐ傑作と聴いているのだけど、妻の隣で毎晩見続けるのもちょっと恥ずかしい。「モテキ到来、狙ってるのか!?」みたいな 笑
とにかく、男はこじらせ過ぎちゃいけないよ。息子たちにはそう伝えている。
「構え、狙え、撃て」
これは狙撃手への号令だがそれでいうと
「惚れて、デートに誘って、告白せよ」
とシンプルが一番だ。
恋愛はバカになって走り出せ!とこの映画を見て改めてそう思う♪
コロナ禍で出逢い→デート→お付き合いのハードルは高まっているかもしれない。
そんな中でも、テンションを上げるのにピッタリの映画だ。効果はわからないけど😂