デニロ

巨人伝のデニロのレビュー・感想・評価

巨人伝(1938年製作の映画)
3.0
1938年製作。脚本、監督伊丹万作。大河内伝次郎、原節子出演。ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」を伊丹自身が翻案したということで、冒頭の字幕で難しいんですというような言訳らしき文言が出てくる。配役は、大河内傳次郎がジャン・ヴァルジャンらしき者、原節子コゼットらしき娘、堤真佐子 エポニーヌらしき娘、佐山亮 マリユスらしき青年、丸山定夫ジャヴェールらしき警官。ミュージカルの「レ・ミゼラブル」でだいたいのストーリーを知っているのでそのつもりで観てはいるのだが、かなり無理があるなあ、と思わざるを得ない。伊丹万作も途中でイヤになっちゃったんじゃないかと思う。

「レ・ミゼラブル」は背景にフランスの政情を反映させて後半のパリ市民による蜂起でクライマックスを迎えるのだが、本作では唐突に西南の役をそれに当てはめてエポニーヌやガヴローシュらしき五郎少年の見せ場を作っている。何で九州なんだ、という辺りもジャン・バルジャンと言えばいえるのだが、観ているわたしは呆気にとられる。

ラストは、原節子を嫁に出す大河内伝次郎と、譲る受ける佐山亮の祖父滝沢修が仲良くお茶を飲む。ああ、無情。
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