当たり屋の家族が逃亡しながら各地を転々とし、日本を縦断した実話。大島渚監督の名作と言われていますが、少年の目線で淡々と語られており、スコアはどうにも付けられませんでした。心が動かないのではなく、「涙がもともとない」と自分のことを言う少年の乾いた視線が印象深く、それ以外の生き方を知らない少年の無垢が汚れ傷ついていることに点数を付けられませんでした。少年のことを考えると、この出来事にマイナスをつけたいくらいです。
継母(小山明子)と少年が、父親(渡辺文雄)の代わりに車に当たり、示談金でその日暮らしをしていて、「万引き家族」の衝撃に近いものがあります。
自動車事故で軽いケガしかしたことのない少年が自動車の死亡事故を目撃。
「宇宙から正義の味方がやってくる」のを待っていた少年は、働かない父親に従いながらも、少年なりに何が正しいことなのかがわかっていたのだと思います。
異母弟チビに後をついてくるな、自分は宇宙の外に行く、と雪だるまと闘うシーンに胸が痛みました。
人前で泣けなかった少年が流した涙は、命の重さを受け止め、初めて知った自分が守られる安心感からでした。
少年は一般の子供で、作品の乾いたトーンをうまく演じています。キャストの名前は、父、母、チビ、少年の見た世界でした。